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18/11/05

YouTuberに丸投げでPR効果は出るのか? HIKAKINの初期タイアップを担ったプロモーターの疑問

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「YouTuberPRを実施するとき、多くの企業が勘違いしている点があります」

そう語るのは、合同会社DMMGAMESのプロモーション部サブマネージャー・松本航さん。
松本さんは前職にて4年以上前からYouTuberPRを行い、いまや国民的知名度を誇るYouTuber・HIKAKINさんをはじめ、多くのYouTuber黎明期からゲームタイアップを行ってきました。

今回は、スマホゲームアプリ「神姫PROJECT」のプロモーション施策でYouTuberPRを実施したことについて、松本さんと同社チーフ・高畑康彦さんにお話を伺いました。

動画映えしないゲームでも、YouTuberPRは効果がある。

ーーYouTuberPRをはじめた経緯を教えてください。

高畑:競合タイトルが多くあるなかで、運用広告のみの集客では、コスト面や獲得数に限界を感じていました。一方で、昨今のYouTuberブームにより、数十万人以上のファンを抱えるYouTuberが数多く存在しています。YouTuberPRは新規ユーザーの多数獲得を期待できると思いました。

松本:「神姫PROJECT」がリリースして約2年が経ちました。普通のプロモーション施策では獲得単価を考慮すると費用対効果が悪い。だからプロモーション方針を休眠復帰に切り替えるか、新しい媒体にチャレンジするのか、ということを考えたときに両方の側面を持ち合わせているYouTuberPRを試そうと思ったんです。

YouTuberPRを実施した神姫PROJECT(http://games.dmm.com/detail/kamipro/

ーーなぜ休眠復帰に優れていると判断されたのでしょうか?

松本:ターゲティングでは通常の休眠復帰アドを当てたほうが優れていますが、復帰する動機付けとして、自分の好きなインフルエンサーが遊んでることは大きなキッカケになると判断しました。前職でYouTuberPRを行なってきた経験からそう考えたのです。

ーー前職でのYouTuberPRはいつから行われていたのですか?

松本:4年以上前ですね。HIKAKINさんのチャンネル登録者数が三桁万に到達したばかりの頃ですね。HIKAKINさんやSEIKINさんはもちろん、マックスむらいさんやゴー☆ジャスさんとも一緒にタイアップ動画を実施させていただいておりました。

ーー当時、YouTuberの方々にPRの実績はあったのでしょうか?

松本:HIAKINさんのゲームタイアップは僕らがかなり初期の頃で、マックスむらいさんは僕らで2社目くらいのときでした。

ーーかなり初期の頃ですね。効果が全く予想できなかったと思うのですが、懸念はなかったのでしょうか?

松本:あまりなかったですね。PRを実施したゲームのジャンルがMMOでした。当時は日本に馴染んでいないジャンルだったので、普通にアドネットワークを回してもユーザーが中々獲得できなくて。そんな中、伝える手段としてYouTubeに強い興味を持っていた頃、YouTuberの存在を知って。この方々に頼めば視聴者に楽しくゲームを伝えてくれるのではないかと。また、著名人と一緒にゲームできる環境を視聴者に提供できるので、MMOの市場と親和性が高いと思ったんです。

ーーそのときの結果はどうだったのですか?

松本:大体CPIでいうと、1インストール10円ほどでしたね(笑)

ーーかなりハマったのですね。

松本:そうですね、それからはYouTuberPRをコンスタントに実施してきました。なので今回のPRでもその経験からイケる感覚があったんです。

ーー今回のゲームに関しても、親和性があると思ったのでしょうか?

松本:正直、神姫PROJECTはYouTuberPRとの親和性は低いと思います。というのも、対人戦の要素がないRPGゲームなので、昨今のトレンド的にYouTuberからプレイされているゲームに比べると、動画として見劣りすると思ったんです。

ーーなぜそれでも踏み切ったのでしょうか?

松本:今までYouTuberPRを実施してきた中で、ゲームの親和性はもちろん必要だと思っています。一方で親和性が低くても、動画としてのコンテンツが成り立てばPR効果は発揮されます。そこで今回の実行に踏み切りました。

DMMGAMESの高畑氏(左)と松本氏(右)

PR企画はインフルエンサーのヒット動画をもとに練る。

ーーインフルエンサー選定のポイントを教えてください。

高畑:必ずチェックする点は直近の配信内容、動画の再生数、ユーザーの反応です。Youtuberは流行り廃りが早く移り変わるので、少し前に流行っても再生数が伸びないケースが多々あります。それらをチェックした上で、新規獲得や認知拡大を期待するタイトルであれば、ファンを多く抱えているエンタメ系のYouTuberを中心に選定します。ゲームの魅力をしっかり伝えたい場合、そのゲームと類似したジャンルを多く投稿しているYouTuberなど、ゲームとの親和性の高さを軸に選定していきます。

松本:今回は「てんちむ」さんのチャンネルにて、丸の内OLレイナさんにも共演いただいて取り組みましたね。

ーーなぜてんちむさん達を選ばれたのでしょうか?

松本:理由は2つあります。神姫PROJECTが男性向けゲームで、ユーザーの95%が男性です。なるべく男性に刺さるYouTuberを選定したかったというのがひとつ。

また、普段から色んなYouTuberをベンチマークして動画を見ているんですけど、最近てんちむさんが「童貞」という単語をフックに、再生数を伸ばしているケースが多かったんです。その2点において、神姫PROJECTのPRに効果的だと感じました。なぜ「童貞」と親和性が高いと思ったかは……察してください(笑)。

ーー企画はどんな内容だったのですか?

松本:「童貞を殺すセーターで童貞を殺してみた」という企画です(笑)。今回はこちらで企画、構成、オチまで考えました。

ーー企業側で企画やオチまで考案されるのは珍しいですね。

松本:今までの経験と、1タイトルに1チャンネルでの依頼だったので余裕があり、YouTuberの特性(伸びる傾向の動画)とゲームの関連性をこちらで練ることにしました。それに成功させるって息巻いて実施する以上は、再生数は確実に出したかったので(笑)。さすがにこれで「失敗しました」は、過去の経験上かっこ悪すぎるかなと(笑)。

ーー企画のポイントを教えてください。

松本:まず視聴のきっかけとなる「釣り」の要素が必要だなと。当時のてんちむさんは、童貞をフックにした動画はだいたい二桁万再生以上、ものによっては100万再生超えでした。ただ童貞で釣らない動画は一桁万再生に留まっていて。だから童貞をフックにした動画にすることで再生数を伸ばそうと考えました。

企画では童貞の方を2人呼び、先にボスを倒したら勝ちというタイムアタック勝負をしてもらいました。バトルの勝者にはてんちむさんと丸の内OLレイナさんが話題のASMRを用いて耳元で囁いてあげる、という報酬を。また、終始お二人には露出の高い衣装を着ていただき、視聴者はもちろん、演者さんがリアルに興奮してしまう環境を作ろうとしました。その要素を含めて、視聴者も最後まで楽しめる内容にしようと心掛けました。

YouTuberに「お願いします」と言って良い動画はあがるのか?

ーーPRの結果はいかがでしたか?

松本:想定としては、20万再生を超えてほしいなと思っていました。結果は現在63万再生以上でしたね。

ーーインストールの結果はどうだったのでしょうか?

松本:想定CPIは300円で考えていたんですけど、結果は950円でした。再生数の伸ばし方は間違っていなかったのですが。動画のコメント欄でゲームのことがほとんど触れられていなかったため、企画に寄りすぎた分、ゲーム部分がスキップされた可能性があります。ゲーム部分を見たくなる要素が、もう少し必要だったかなと。

ただ、再生数が取れたことに関しては成功でした。YouTuberはいい意味でも悪い意味でもデータがよくわからない。てんちむさんで言えば、男女・年齢別の視聴者層はデータでわかるんですけど、それが神姫ユーザーと親和性があるかはわかりません。それゆえ、そのわからない層は今までリーチできてないかもしれない。

ーー今回は新たな層にリーチできたと。

松本:そうですね。今後データが見れるようになり、広告SDKとYouTubeが連携するようなら、YouTuberPRはどんどんアドネットワーク寄りになり、広告媒体の一つに過ぎなくなるなと。今のわからないところが逆に魅力なんだと思います。

ーー再生数もある程度予想はついても、蓋を開けるまで正直わからないですからね。

松本:ひとつひとつの動画によって再生数が違うという、非常に珍しいメディアです。一人一人違う動画をあげていて、一人一人異なる層のファンがいて、毎回投稿する動画は失敗する場合も、化ける場合もある。面白い市場だなと。

高畑:一気に認知拡大できる可能性がありますからね。配信内容が刺されば口コミ的に広く波及されていきます。

ーー最後に、YouTuberPRを検討している企業さんにアドバイスをお願いします。

松本:YouTuberPRを誤解されている方が多いと感じます。YouTuberさんに「お願いします」と投げれば、いい動画が上がると思われてる方が多い。そのようなやり方はやはりうまくいきません。YouTuberだけでなく、芸能人を起用した場合でも同様だと思うんです。ただ人気だからってだけで選んでも、ファンにも刺さらないし、見てても面白くない。その人に依頼をする理由付けを明確に作ってあげて、ファンはもちろん視聴者が楽しめるコンテンツに仕上げていく必要があると考えています。ですので、僕ら企業側が、もっとYouTuber側になって、動画の絵になる素材や企画を歩み寄って提供していくべきだと思うんです!

ーープロモーションを考える上で、参考にされていることはありますか?

松本:普段からYouTubeを見て情報を集めること、あとは……IPRを使うのも効果的だと思います(笑)。

ーーありがとうございます(笑)。データをみることも意識されますか?

松本:どんなYouTuberが急上昇してるか、どんな動画がウケているかを調べる。もしくはそれを確認できるツールを使うのは大切です。PRを行う媒体に興味を持ち、「どうすれば成功するか?」を考えつづけることで、成功につながるのだと思います。

起用したてんちむの最新データはコチラより閲覧可能です。

聞き手:
株式会社BitStar
IPRプロデューサー 植田和臣
セールスマネージャー 池松信行

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