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19/01/24

ベンチマークはきゃりーぱみゅぱみゅ。異色のバーチャルタレント「琴吹ゆめ」が目指すものとは?

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ネット流行語大賞2018の得票数一位となった「バーチャルYouTuber」。

その人気と影響力は日本中に広がりつづけている。
大手飲料メーカーのサントリーコミュニケーションズは公式バーチャルYouTuber「燦鳥ノム」を発表し大きな話題に。バーチャルYouTuberのなかで圧倒的人気を誇る「キズナアイ」はチャンネル登録者数が240万人を超え(2019年1月現在)、日本政府観光局から訪日大使に任命されている。

最近、そんなバーチャルYouTuberのなかで、バーチャルタレントとしての活動で注目を集めている、「琴吹ゆめ」をご存知だろうか? 若者に人気の動画アプリ「TikTok」のフォロワー数は10万人を超え(2019年1月現在)、人気のバーチャルキャラを抑えてフォロワー数が1位となっている。元内閣総理大臣の小泉純一郎氏とコラボしたTikTok動画も大きな話題となった。

そんな彼女がベンチマークするインフルエンサーは、世界的人気アーティスト「きゃりーぱみゅぱみゅ」だという。

バーチャルYouTuberの中でも異色の存在の「琴吹ゆめ」。彼女はどこを目指し、何を達成したいのか? プロデュースを手がける株式会社KOUEN代表の松田一輝さんとプロデューサーの内田悦弘さんに話を伺った。


左:内田氏、右:松田氏

人と真摯に向き合った結果、バーチャルYouTuber事業に。

ーー普段お2人が携わっている事業を教えてもらえますか。

松田:会社では俳優、タレントのエージェント業務や企画・プロデュースを行なっています。これまでアイドル応援アプリ「CHEERZ(チアーズ)」の立ち上げや俳優応援プラットフォーム「mirrorliar」のプロデュースなどにも関わってきました。

内田:私の方は動画制作などクリエイティブの方をメインで行なっています。また「琴吹ゆめ」のプロデュース以外でも他のバーチャルキャラクターの制作・運用や、キャラクターのキャスティングなども行なっています。

ーー芸能業界からバーチャルYouTuber市場に乗り込むのは珍しいと思います。なぜやろうと思ったのでしょうか?

松田:私はこれまで多くのタレントをプロデュースやマネジメントしてきて、女の子に裏切られた経験があるからですかね。

ーーどういうことでしょうか?

松田:売れているタレントの子も最初に出会ったときは普通の女の子です。私たちは市場的な価値が0の子に時間とか人脈とかお金を費やしてファンを増やしていきます。その結果、女の子は商品として人気になるのですが、人気になるといきなりお金のことでうるさくなったり、力のある権力者と知り合った瞬間にそっちに行ってしまうことなど、悲しい経験が多かったんです。

これまで人と向き合いつづけてきてプロデュースの難しさを感じました。そこでキャラクターなら裏切らないな…と思ったんです(笑)。

ーーIT業界の人とは全く異なる切り口ですね…(笑)。

内田:私もバーチャルYouTuberにずっと興味を持っていました。そして松田さんと一緒に取り組むことになり、キズナアイちゃんをつくった技術会社に事業のご相談をしました。それが2017年8月頃のこと。バーチャルYouTuberが全く浸透していない当時から、琴吹ゆめのプロジェクトが水面下でスタートしたんです。

『中の子』が本当にかわいい子しか務まらない理由

松田:『中の子』のオーディションには力を入れました。私が映画業界、内田さんはアニメ業界に強い。声優系と芸能系の事務所合計300社にダイレクトメールをしました。その結果100人以上から応募が集まりました。

ーーただ芸能事務所に所属しているということは、自分自身を売りこみたい子が多そうですよね。

松田:そこはよく確認しましたね。「どれだけ売れても自分がやっているとは一生言えない。君はミッキーマウスになるんだよ?」と。そして意思が固まっている子だけを最終オーディションに迎えいれました。

ーー数ある応募者から今の子に決めた要因は何ですか?

内田:トーク力とアドリブに対応できる力ですね。アニメーションはキャラクターに決まったセリフで声をあてます。声優の子はそれは上手いのですが、バーチャルYouTuberには生っぽさが必要です。

松田:だから審査員側が色々と仕込みました。女の子の前でいきなり歌舞伎揚を目の前で割って、スって出して「あちらのお客様からです」と言われた時にどんな反応をするかとか(笑)。戸惑う子が多いなか、ゆめちゃんの『中の子』は凄かったんです。咄嗟に「はいはいこれを開けてみて、って割れとるやないかーい!」と返してきて(笑)。
内田:他のアドリブ審査でもウケまくって「この子しかいない」と、ゆめちゃんの『中の子』に決まりましたね。

松田:また、オーディションを通してあることに気づきました。キャラクターになってしまえばリアルの容姿は関係ないと思うじゃないですか。でも容姿が本当にかわいい子じゃないと、かわいいバーチャルYouTuberは務まらないと僕は思いました。

かわいい子は、「君ってかわいいよね」という周りの環境の中で小さい頃から生きているので、褒められたり驚いたりしたときに素直にかわいい反応ができます。実際、『中の子』もかわいいですけどね。これは意外な発見でしたね。

「この子しかいない!」と思える『中の子』も決まり、2018年4月、YouTubeで本格的に活動を開始しました。

TikTok人気No. 1。原宿好きな10代がメインターゲット

ーー琴吹ゆめのTikTokフォロワー数はバーチャルYouTuberのなかでも群を抜いてます。ここまでフォロワー数が伸びた要因は何でしょうか?
松田:TikTokで流行っている動画をキャラクターが実践したのが目新しかったんだと思います。投稿を重ねるとフォロワー数がどんどん伸びました。元内閣総理大臣・小泉純一郎氏とのコラボ動画は46,500イイねをもらうなど、大きなバズが起こったことも良かったですね。

内田:一般的なバーチャルTikTokerのファン層はYouTubeと同じファン層です。しかし琴吹ゆめの場合、普段からTikTokをよく見ている10代の若い子たちがファンになっている。さらに韓国人や英語圏の人々もかなり増えてきました。琴吹ゆめとのコラボ動画をアップしてくれるのは海外の小さい子どもが多いですね。

ーー今までのバーチャルYouTuberとファン層が全く違いますね。

松田:いわゆるリア充層のファン獲得を目指しています。イメージは10代で原宿が好き、流行に敏感な若い子。

ーーベンチマークしているインフルエンサーはいるのでしょうか?

松田:きゃりーぱみゅぱみゅですかね。原宿と言えば彼女みたいな部分あるじゃないですか。そのバーチャルポジションを狙っています。きゃりーぱみゅぱみゅは海外でも大きな影響力を持っているので、琴吹ゆめも同様に広がることを目指しています。

ーー他のバーチャルYouTuberは意識していないのですね。

松田:そうですねー。特にいないです。独自路線すぎて。2018年12月にはカンロ×WEGO×CANDY・A・GO・GOが共同開発したコラボピュレグミ「原宿ストロベリーミルク味」のキャンペーンに関わりました。他のバーチャルYouTuberと全く違う方向性だと思います。

そして今は「チーム原宿」をつくっている最中です。メンバーは琴吹ゆめを筆頭に、原宿で人気のあるアイドルやモデルの子たちTIkTokerなど。このチームで原宿が好きな、流行に敏感な若い子にアプローチしていきたいと考えています。

内田:バーチャルYouTuberは今、一時のブームが落ち着いている段階です。そこで琴吹ゆめの取り組みがうまくいけば、バーチャルYouTuberの市場を広げて盛り上げられる。今までのパイの取り合いと違う方向が見えるのではないかと期待しています。

世界中の人と友達になり、夢を応援する存在に

ーー直近はどのような展開をされていくのでしょうか?

松田:今のTikTok人気の波に乗れるように、TikTokには力を入れつづけます。それに加えてInstagramにも取り組んで若い子の人気を確立したいですね。あとはリアルイベントの開催。以前ヴィレッジバンガードで開催したような交流イベントをまたやりたいです。

そして10代の若い子が喜ぶようなイベントやメディアへの出演を目指します。例えば東京ガールズコレクションなどのファッションショーに出演したり、ポップティーンの専属モデルを務めれたりしたら、話題性もあって面白いと思います。

内田:中国展開も狙っていて、今後、琴吹ゆめを中国のアプリに展開する予定です。アニメ風のキャラクターが動いてファンとリアルタイムに交流する存在は中国にまだあまりいないので、中国人気が爆発するかもしれません。

松田:そこでヒットすれば琴吹ゆめを筆頭にバーチャルTikTokerを何人も集めて、中国に繋げる導線を作りたいですね。

ーー最後に、琴吹ゆめのプロジェクトで一番達成したいことを教えてください。

松田:大きな野望をいろいろと語りましたが、琴吹ゆめを通して一番叶えたいのは「誰かの友達になること。誰かの夢を叶えること」です。「昔、あの子とあんな遊びをしたよね」と楽しい思い出のなかにいる存在、夢ができた時に応援してくれる存在がいるだけで人生は変わります。

だから琴吹ゆめは視聴者に「『おれの友達の琴吹ってやつがTikTokをやってるんだけどさ』って友達とかに全然言って!」とよく言います。もしも、視聴者が友達に話してくれたら「琴吹ってそもそもバーチャルじゃん!」と会話のツッコミどころにもなる。そうすれば新しいコミュニケーションが生まれるかもしれない。

琴吹ゆめがリアルに織り交ざり、みんなの友達になり、夢を応援する存在として広まるよう、私たちは今後もプロデュースをつづけたいと思います。

琴吹ゆめ

【TikTok】
http://vt.tiktok.com/UjV1p/

【YouTubeチャンネル】
https://goo.gl/QSysw9

【Twitter】@KotobukiYume
https://twitter.com/KotobukiYume

【Instagram】kotobuki_yume
https://www.instagram.com/kotobuki_yume/

お仕事のご依頼・お問い合わせ
info.yume2018@gmail.com(内田)


左から
IPRプロデューサー:植田
株式会社KOUEN:内田氏
株式会社KOUEN:松田氏

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