日本最大級のタレント情報網「日本タレントデータバンク」によると、いわゆる”芸能人”は20,000人を超えることがわかります。一方で弊社提供のインフルエンサー・マーケティングツール「Influencer Power Ranking」(IPR)では国内の”インフルエンサー”が30,000人を超えることを確認しています。
この数年でその存在が認知されてきたばかりということを考えると、驚異的な母数であることがお分かりでしょう。
インフルエンサーをマーケティングの手段として活用する”インフルエンサー・マーケティング”という言葉を耳にするようになって、まだあまり時間は経っていません。故にマーケターの方とお話しすると、興味はあるもののどうやってチャレンジしていいかわからず戸惑っている方を多くお見かけします。
悩みの背景には、この数年で“IT×広告”がもたらした「金融工学にヒントを得たロジスティクスな考え方」がマーケターにとってスタンダードな考え方として定着しているということなのでしょうか。と、言うのもたった5年前まではIT業界でも純広告が一般的で、アナリティクスという言葉ですら定着していない“アナログな業界”でした。このことを振り返ると、今のIT業界はテクノロジーとマーケティングの素晴らしい進歩を遂げているのです。余談ですが、私もビクビクしながらその変遷を見てきた一人です。
インフルエンサー・マーケティングを阻む“不確かさ”というキャズム
そもそも“インフルエンサー”とは何者なのか、改めて定義することでも無いかもしれませんが、「webやSNSを通じて世間に大きな影響力を持つ人物(もしくは人格を持つアカウント)」と定義されるでしょう。
なぜインフルエンサーが注目されることになったのか。それは呼称の語源でもあるように「influence(影響)」を与えられる力が“想像以上に高い価値”を持つようになったからということに他なりません。タレントもインフルエンサーとしての顔はありますが、webやSNSの登場でタレントでなくてもインフルエンサーになれるようになりました。
これまで『影響力』は、テレビなどの限られた「メディア」から“提供されるもの”であったのに対し、webの進化によって「メディア」は“提供できるもの”になったことが、“想像以上に高い価値”を持つインフルエンサーを生む土壌になったのです。
日本では特に“若年層マーケティングの手法”として、インフルエンサーの活用が着目されています。テレビ離れが囁かれているキー局のテレビ番組でもしばしばユーチューバーがキャスティングされているのを見かけるようになりました。一方で、素材の活かし方がタレントとは異なることが作り手に理解されていないのか、制作される番組が“インターネットの向こう側にいる視聴者が求めるもの”とはまだ乖離しているように思います。
結果的にインフルエンサー・マーケティングでは思ったほど効果が出せていないケースが散見され、「インフルエンサーなんて使うべきでない」という辛辣な意見もしばしば見られます。つまるところ、“不確かなマーケティング手法”というのが凡その評価なのでしょう。
では、“不確か”なインフルエンサー・マーケティングを放棄するべきでしょうか。それはナンセンスな結論です。博報堂メディアパートナーズさんが調査している「メディア定点観測」を見ても、テレビの影響力は明らかに減っています。台頭するのは言わずもがなインターネットであり、インフルエンサーは明らかに「メディア」としてのパワーを持ち始めているからです。
インフルエンサー・マーケティングの“不確かさ”というキャズムをどう超えるのかが今求められており、それに向き合う企業やサービスが必要とされている、と我々は感じています。
メディア総接触時間の構成比 時系列推移(1日あたり・週平均):東京地区
[出典] メディア環境研究所
インフルエンサー・マーケティングは資産管理
インフルエンサーで真っ先に思い浮かべるのは「ユーチューバー」ではないでしょうか。もちろんインスタグラマーなども含めて“インフルエンサー”なのですが、日本のユーチューバーだけでも約30,000人を悠に超えています。裾野の広さと、タレントに比べて参入の容易性がご想像いただけるかと思います。
一方で子供達が夢見る“職業ユーチューバー”はほんの一握りにすぎません。100万フォロワーを超えるユーチューバーはたったの59人。フォロワー数が1,000人を超えるユーチューバーのうち、実に0.17%しかいないのです。(2018年3月現在 IPR調べ)これは影響力を価値提供する職種ではどの業界でも当てはまる事かと思いますが、過酷な競争ピラミッドの中で日々勝ち残らなければならない職業だという事です。その競争ピラミッドは、インフルエンサーを生みだしたはずの土壌によってもたらされているということは、なんとも酷な話ではないでしょうか。
国内TOP100ユーチューバーのフォロワー数比較
[2018年3月現在 IPR調べ]
話は逸れましたが、実はこの環境を理解することがマーケティング活用をする上で非常に重要です。なぜなら、インフルエンサー・マーケティングは株などの変動によく似ているからです。
有象無象に新しい自称インフルエンサーが登場しており、早期発見や継続的な観察、アプローチが自社のマーケティングに大きく影響しするとしたら、みなさんはその眠れる資産を誰が管理するべきだと思いますか?私なら、誰よりも先に私自身でその数値を追いたいですし、追うべきだと思います。
データ・ドリブンなインフルエンサー・マーケティングを実現させるために
インフルエンサー・マーケティングについて延々と書いてきましたが、マーケターの皆さんにとって重要なことは、費用対効果を最大限に引き上げて施策を成功させることでしょう。
そのためには「金融工学にヒントを得たロジスティクスな考え方」をインフルエンサー・マーケティングにも絡めていく必要があると考えています。
BitStar社では一気通貫でのインフルエンサー・マーケティング・ソリューションを提供するべく、“不確かなインフルエンサー・マーケティング”をいかに科学的に解明していくのかが、我々の使命だと感じております。
その上で、IPRではデータ・ドリブンな思想を重要視したツール提供およびコンサルティング支援を行い、その成果や情報をIPR REPORTを通じて共有して参ります。
このキャズムを超えメインストリーム市場にするべく尽力して参りますので、皆様の課題などございましたらお気軽にご相談いただけると幸いです。