今や信じられない人もいるかもしれませんが、インターネット黎明期に就職先にIT業界を選ぼうものなら「なにか怪しい」「よくわからない」と親に猛反対された人は少なくありませんでした。実は私もその一人です。
私の父親はメーカーのエンジニアをしていて、日本の技術力の高さを自分のことのように誇らしげに語る人でした。私自身はそんな父の姿をカッコいいと思っていましたし、テレビ局もそういった開発秘話をドキュメンタリー番組で神格化して多く取り扱っていました。 事実、日本の戦後復興は”モノづくり”が支えてきました。私がIT業界に進むと聞いて反対した理由は、単に親がITという業界に無知だったからだと思います。
そして今、私たちがデータドリブンな市場へと挑戦しているのが「インフルエンサー・マーケティング」という「なにか怪しい」「よくわからない」と言われる市場です。
(参考)マーケターが押さえておくべき“不確かさ”を埋めるデータ・ドリブンなインフルエンサー・マーケティング
フォロワー数ばかり語る営業は要注意
「インフルエンサーを活用したプロモーションをやってみませんか?」という営業を受けた出稿担当者の方は増えてきたのでないでしょうか? また、実際に出稿したことがあるという企業の方も増えていると思います。 弊社もインフルエンサー・マーケティングの営業をしている会社の1社です。(笑) さて、そんな営業で要注意な提案を紹介します。
- フォロワー数をベースとした見積もり
- 実績が再生数のみ
- 企画はインフルエンサーに丸投げ
何がポイントかというと、数値はマジックなので、与えられた数字が検討に必要か判断できているかどうかということです。 私の見解として、もっと多角的な視野でのプランニングができていないとインフルエンサー・マーケティングは失敗します。
600本の動画と400万回の視聴データからわかったこと
プランニングに必要な数字は追って記すとして、一般的なYouTube事情についてデータから客観的な指標を見つけることは可能です。まずは簡単なデータアプローチからYouTubeの動画について見ていきましょう。サンプルは無作為に抽出したYouTube上の600本の動画です。
アプローチの仮説として、「エンゲージメント(投稿に対するlikeやコメントの総数)」を重要な指標として捉えました。これは、「視聴者は視聴完了時にアクションをする傾向が高い」と私が認識しているからです。バナーの価値も完了ページユーザが新しいアクション(広告を踏むetc…)をするからCTRが高くなる傾向がありますよね。
ここでお伝えしたいことは、データが思考プロセスに役立つということであって、正解があったということではありません。その前提で、データを「数値としてのデータ」という定量的な側面と、「動画内容」という定性的な側面から考察したことをお伝えします。
ということで、「エンゲージメントが高くなる傾向はあるのか?」ということを「動画の長さ」と「エンゲージメント率(エンゲージメント総数をフォロワー総数で割ったもの)」でグラフ化してみました。
[2018年4月現在 IPR運営調べ]
まず、動画の長さで判定すると、標準偏差から①3分未満、②3分-7分未満、③7分以上という3つのグループが存在することがわかります。多くは②に収まる傾向がありますが、実はエンゲージメント率は近似線から見ても「長い動画ほどエンゲージメント率は低くなる」傾向がわかります。 つまり、「短い動画ほど良い」ということです。
とはいえ、もう少し踏み込んだデータなしでは結論にはたどり着けないかとお思いの方もいらっしゃるかと思います。次に、複数のYouTuberアナリティクスデータから見てみましょう。
「2分30秒が限界」説
複数のYouTuberのアナリティクスデータから「視聴者のデバイス」と「平均視聴時間」を参考に見てみましょう(下図)。参考にしたデータ数は、実に4,645,576回の視聴データです。
[2018年4月現在 IPR運営調べ]
平均視聴時間 | 視聴回数率 | |
携帯電話 | 2:21 | 84.00% |
タブレット | 2:23 | 11.67% |
パソコン | 2:22 | 3.30% |
テレビ | 3:39 | 0.67% |
ゲーム機 | 2:59 | 0.57% |
[2018年4月現在 IPR運営調べ]
もはや見ていたければおわかりの通りかと思いますが、視聴者の95%以上は携帯電話・タブレットを利用しており、視聴時間平均は2分30秒を下回ります。 つまり「YouTubeは5分の動画も見られる!」と思っていた方の理想と現実は50%以上の認識乖離があったということです。
「多角的な視野でのプランニング」とは
データから、大半のユーチューバーは3-7分の動画を作成する傾向がで見えました。これは「ユーチューバーの企画」と「視聴者の無言の評価」に乖離があるということであり、おおよその企画は最後まで視聴者に受け入れられていないということかもしれません。
ユーチューバーのここを見るべし
結局のところ、マーケターにとってインフルエンサー・マーケティングはどうやってプランニングしていくべきなのか?結論を伸ばしましたが、この記事では「フォロワー数とエンゲージメント率はしっかり見ていきましょう」という事をお伝えできればと思います。 「しっかり見る」ということは、以下の2点がポイントかと思います。
- フォロワー数にエンゲージメント率を掛け合わせた数字「エンゲージメント数」の比較も取り入れる
- 動画投稿が3分以上のユーチューバーは「企画の面白さ」を定性評価ポイントとして入れる
マーケティングに「エンゲージメント以外は不要なのか?」というと、勿論必要です。例えば視聴者のデモグラ情報や趣味嗜好などの情報や、投稿の視聴回数、フォロワーの伸びなど、見るべきことは少なくありません。 故にインフルエンサー・マーケティングは難しく、不用意にチャレンジすると株や先物取引と同様に失敗してしまうのです。
IPRなら無料でも数値比較が可能
データから「エンゲージメント」についての記載をしましたが、IPRではインフルエンサーごとのエンゲージメント数やエンゲージメント率をすぐに閲覧することが可能です。 まだインフルエンサー・マーケティングにチャレンジしたことがない方や、チャレンジしたけど上手くいかなかった方。まずは数値を見ることから始めてみませんか?
BitStar社ではインフルエンサー・マーケティング・ソリューションを提供するべく、“不確かなインフルエンサー・マーケティング”をいかに科学的に解明していくのかが、我々の使命だと感じております。 今後はこれらのデータを複合的に比較したりスコア化することで、より簡単にプランニング活用できるよう機能改善をしていく予定でございます。 ご不明な点などございましたら、お気軽にお問い合わせいただけると幸いです。
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